2014年に鹿児島市の県立高校1年の男子生徒(当時15)の自殺をめぐって、学校側の対応に問題があったとして遺族が県に約4500万円の損害賠償を求めた訴訟で、25日、和解が成立した。鹿児島地裁の和解勧告を双方が受け入れた。
和解条項では、県は重大な事態を防げなかったことを厳粛に受け止め、遺族に謝罪する▽いじめの可能性がある事態に直面した際には、生徒に丁寧に聞き取り、学校組織で情報を共有して継続的に対応していく▽生徒が欠席した場合、教職員間で確認し合い、適切に保護者に確認・連絡する▽原告側は損害賠償請求を放棄する、などとしている。
この日会見した遺族は「いじめを感知する能力を先生たちに上げてもらわないと、いじめはなくならない」と改めて訴えた。
和解勧告書などによると、男子生徒は2014年6月ごろから、スリッパを隠されるなどのいじめを受け、同年8月に命を絶った。県の再調査委員会は19年に「自殺に大きな影響を与えたと認められる」と指摘。遺族はスリッパの件を学校内で情報共有したり、男子生徒が欠席していたことを保護者に伝えたりしていれば自殺を防ぐことができたなどとして21年に提訴していた。